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去年の12月25日、私は低血糖で意識不明になり
救急車で運ばれてしまいました。
そのときのことを思い出してみます。
児童館で子供と遊ぶお仕事をしていました
1年前、私は実家から近くの児童館でアルバイトをしていました。
それまでは6年ほど接客業をしていましたが、結婚準備のため退職し、
半日勤務の児童指導員補助をしていました。正確にいえば放課後児童クラブでの
お仕事です。毎日、小学校から帰ってくる子供たちとお迎えが来るまで一緒に過ごします。
おやつの準備をしたり、宿題を見たり、外で鬼ごっこをしたり、折り紙やお絵かきなど
室内遊びをしたり。体力的にも無理はなく、毎日職場に行くのが楽しかったです。
その日の午後はクリスマス会をして、いつもより豪華なおやつやケーキ、子供たちの出し物を
楽しんで、最高の1日になるはずでした。そのときまでは。
勤務終了まであと5分で低血糖症状
保育の預かりは19時まで。私は同じく遅番の先生と、残り2~3人の児童と過ごしていまし
た。児童の相手はその先生にお任せして、私は職員室で制作をしていました。イラストや工作
が好きなので、率先して季節の飾りやお誕生日カードなどを作っていました。子供の数も減っ
ていき、掃除機の準備をしようとしていた時、低血糖症状が出始めました。すぐに飴やブドウ
糖を摂取するべきでしたが、緊急性は感じず、大丈夫だろうと何もしませんでした。
ここが運命の分かれ道でした。
みるみる下がる血糖値、視界が真っ暗に
やっぱり補給しなきゃだめだ、飴とブドウ糖、どこに入れたっけな、そうこうしているうちに
血糖は下がり続けました。最後の記憶は、掃除機のホースを組み立てていたこと。
誰かの『大丈夫!?どうしたの!?』という声。視界は真っ暗。
私は意識を失ったのです。
目が覚めると病院、そして母の姿
目を覚まし、病院の天井だということはすぐにわかりました。昔から見慣れた天井。
やってしまった。
後悔と自責の念が押し寄せます。迷惑をかけた。迷惑をかけた。1型糖尿病であることが
ばれてしまった。救急車の手配、児童館の締め作業、子供たちのフォロー、親への連絡。
全部先生がやってくださったに違いない。ああ。消えてしまいたい。
『あら、目が覚めた?大変だったわね。』
横には母の姿。とても落ち着いている。私の意識障害は、今回が2回目。私が発症してから全
てを見守ってきただけのことはある。母から概要を聞くと
・先生が職員室に入ると、私の言動・行動がおかしく、床に倒れこみ意識がなくなった
・救急車を呼び、私の携帯から母に連絡(表示を名前ではなく『お母さん』と登録していた)
・救急搬送中、所持品にインスリンポーチがあったことで糖尿病患者であることが判明
・お迎え待ちの児童もいる中、先生もパニックになり主任の先生に連絡、その後先生方全員が
病院に集まる事態に
糖尿病であることを職場に隠していた
先生方は話し合ったあと帰宅され、母は、私にはこのまま年末年始の休みに入るよう言われた
そうだ。病気のことは、話してくれれば危険なことにならなかったかもしれない。私たちも無
理をさせてしまいました。今はゆっくり休んで下さいと言ってくださったそうだ。
そうだ、私がちゃんと糖尿病のことを申告していれば。低血糖の心配があっても、それさえ
気を付ければ他の人と同じく働けること。しっかり説明すべきだった。私は昔から、心のどこ
かで、糖尿病は恥ずかしい病気、100%偏見や好奇の目で見られ、わかってもらえない。
隠したい。知られたくない。という思いで生きていました。
処置を受けて帰宅
糖尿病は、血糖値さえ平常値に戻ればケロッと回復してしまうもので、救急搬送から2時間以
内には病院を後にしました。帰宅すると父が玄関の前に立ち、私と母を出迎えました。父は、
ほっとした顔をして私を抱きしめました。私も抱きしめ返しました。ごめんなさい、と私。
私は心配と迷惑しかかけない娘だなあと実感しました。それと共に、家族のありがたさを実感しました。
糖尿病であることを申告したら、楽になった
次の日、児童館では大掃除の予定でした。昨日のお詫びと、報告をするために電話をかけまし
た。先生方は私の無事をとても喜んでくださり、思いがけない反応でした。もっと気まずい感
じになると思っていました。これからは遠慮なく血糖測定や注射、糖分補給して良いからね。
外遊びが大変だったら、中の作業してくれれば良いからね。
こんなに暖かく対応されるとは思ってもいませんでした。保育や教育のプロの方たちなので、
病気や健康管理にはなおさら理解が深いおかげかな、とも思いました。
それ以来、職員室のデスクで血糖値を測ったり、甘いものを遠慮なく補給できるようになりま
した。冷蔵庫には、万が一に備えて私物のゼリー飲料やジュースを置かせてもらうようにしま
した。
インスリン注射や血糖値を測るのはメガネをかけるのと同じこと
これは当時彼氏だった現在の夫の言葉です。職場に糖尿病のことを隠していたこと、今回のこ
とがきっかけで理解を得られるようになったことを話しました。
『糖尿病はインスリンが出せないから注射で外から補うんでしょ。
目が悪い人がメガネかけることと同じだよ。』
私は、糖尿病が、自分が、特別だと思いすぎていたのかもしれません。糖尿病の他にも治療が
困難な病気はゴマンとあるわけで。これからはもっと、病気をオープンにしていこうかと思っ
た出来事でした。というかオープンにしておかないと、やはり周りの人に迷惑がかかるわけで
すよね。どうせ迷惑かけるなら、知っておいてもらえば最小限の迷惑で済むはず、かなと。
このクリスマスの思い出を教訓に
低血糖昏睡については、また別のときに詳しく述べたいと思います。私はこれからもクリスマ
スの度に、このことを思い出すでしょう。それくらい肝に命じないと、低血糖昏睡は怖いもの
です。病気になってから、いろんな人や奇跡に生かされてきたなあと思います。
来年も再来年も、無事にクリスマスを迎えられますように。
それではまた。メリークリスマス。
コメント
良かったですね。
私は、2014年11月2日の夕方、失神しました。
ケアマネの奥ちゃんが日曜日なので家に居て、救急車を呼んでくれて延命しました。
血糖値は医者も見たことのない1848。
奥ちゃんは死を予期したそうです。
劇症1型で生き延びている人は7000人以下のようです。
ですから、良かったですねぇと、心から言えます。
本題です、扇雀飴の蜂蜜ゆずバージョン、低血糖にいちばん美味しく効果的です。
1個2・5グラムですから、上がりすぎません。
コスパも抜群、良かったら、お試しください。
ちくてつさん、はじめまして。劇症型から生還されたとのこと、とても大変な思いをされたと思います。
奥様も心配されたでしょう。ブログも拝見させて頂きました。私は発症20年以上ですが、4桁の血糖値は初耳でした。
一命を取り留めることができたことが、何よりですね。ほんと、よかったですね。
扇雀飴がおすすめとのこと、さっそく調べてみます。ブドウ糖は美味しくないですし、気を付けないと上がりすぎるのが嫌でした(´・ω・`)
情報&コメントありがとうございます。また教えてください(*‘∀‘)
いろんな思いがありますよね
私も仕事仲間には話した人と話してない人がいます でもキチンと話してないので、きっとよくわかってないと思います 今日も店の店長がケーキを買ってきてくれたけど、みんなはその場で食べたけど、私はインスリンなかったので持ち帰りました
一緒におしゃべりしながら食べたかった〜 低血糖も怖いので本当は打ち明けたいけど、勇気が出ません いつかカミングアウトできるかな
さとさん、コメントありがとうございます。
私も今の職場では、責任者の人にしか伝えていません。他の方には、ずるずるタイミングを逃してしまいました。カミングアウトしても理解してくれそうな方ばかりだと思っても、葛藤はありますよね。私も職場ではおやつがたくさん出ますが、トイレや隅っこでインスリン売ってます。ものの10秒くらいで(笑)申告するとき、私もとても勇気が入りました。でも、案外大丈夫ですよ。持病があるのは私たちだけじゃありません。さとさんもいつか、カミングアウトできるチャンスがあると良いですね。
一年前のクリスマスに、そんなことがあったのですね。
私も持病があり、毎日お薬を飲んでいます。
精神の病なのですが、まだまだ誤解や偏見もあるかとは思いますが、分かってくれる人は居るので、基本的にはオープンにしています。
ご主人さまのお言葉を借りれば、私がお薬を飲むのも、メガネをかけるのと同じことなのかなと思いました。
ツリーの写真綺麗ですね。
さよさん、体に気を付けてよいクリスマスをお過ごしくださいね。
メリークリスマス☆彡
わこさん、コメントありがとうございます。
そうなんです、そんなことがあったんです。苦い経験になりました。せっかくのクリスマスの夜に、いろんな方に迷惑をかけたなぁと思い出します。わこさんの持病も、必ず理解者はいるはずです。100人中100人じゃなくても、近くに理解してくれる人が一人でもいれば、どんな病気でも心強いものだと思います。多くの人に正しく理解して欲しいですけどね。私もこれから他の病気の方に対して、そうしていこうと思います。
日付が変わってしまいましたが、わこさんが素敵なクリスマスを過ごされたことを祈ります。
メリークリスマス(*´∇`*)